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子宮内膜症の女性は糖尿病になりやすい?2型糖尿病リスクとの意外な関係

齊藤英和 2026年09月29日

子宮内膜症については、以前にも何回かこのコラムでお話ししたことがありますが、子宮内膜様の組織が、子宮外のいろいろな臓器で増殖し、種々の病状を引き起こす疾患です。例えば、月経困難症をおこして仕事に影響したり、不妊の原因にもなったりします。この疾患は、長期的な代謝異常を示し、健康に影響を与える可能性のある炎症性疾患です。これまでの研究では、糖尿病との関連については明らにはなっていませんでした。今回、子宮内膜症と糖尿病の発症との関連を大規模に調査した研究(Fuzak Nunziato M,etal. Diabetologia. 2026 Aug 6. doi: 10.1007/s00125-026-06828-w. Online ahead of print.PMID: 42560525)が報告されたのでお話しします。

子宮外に生じる内膜様病変の分類と影響について

子宮外に生じる内膜様病変は、大きく分けて以下の3つのサブタイプに分類されます。

①腹膜表在性子宮内膜症(SE)
②卵巣子宮内膜症(OE)
③深部浸潤性子宮内膜症(DE)

①のSE は、腹膜表面に内膜様組織が増殖する状態、②のOEは、内膜上皮で覆われた卵巣嚢胞(チョコレート嚢胞)として現れ、③のDEは、腹膜下5mm 以上深く浸潤し、しばしば周囲臓器に影響を与え、症状が大きいことを特徴とします。

深部浸潤性子宮内膜症(DE)は、深い組織浸潤と強い炎症反応を伴うため、SE や OE よりも全身性炎症が亢進する可能性があります。また、腹膜表面に病変が及ぶ SE も炎症症状を示す可能性があり、卵巣に局在する OE は特有のホルモン・代謝的影響を持つ可能性があります。このように子宮内膜症のサブタイプ間で 炎症状態が異なる可能性が示唆されています。さらに、炎症は2型糖尿病の発症に重要な役割を果たし、IL-6やCRPなどの炎症マーカーの上昇は、糖取り込みやインスリン感受性を低下させることが示されています。

糖尿病の分類とその原因について

差がみられました。子宮内膜症のある女性は未経産である確率が低く(44.1% vs 77.0%)、1 回以上の出産歴を持つ割合が高率でした。

また、子宮内膜症のある女性では、健康的な BMI(18.5–24.9 kg/m²)である割合が高く(56.5% vs 34.8%)、また糖尿病の有病率は子宮内膜症のない女性の2倍以上でした(10.6% vs 4.3%)。さらに、子宮内膜症のある女性は、これまでに結婚したことがある割合が高く(62.4% vs 30.2%)、喫煙歴を持つ割合も高く(5.2% vs 1.6%)、都市部に居住している割合もわずかに高くなりました(82.1% vs 80.2%)。

子宮内膜症の女性は2型糖尿病を発症リスクが高い

出生州、出生年、コホート参加時の年齢、人種/民族、BMIを調整した後、子宮内膜症のある女性は、子宮内膜症のない女性と比べて2型糖尿病を発症するリスクが46%高い傾向でした(調整ハザード比[aHR]1.46、95% CI 1.43–1.50)。

また、子宮内膜症の分類別の解析では、以下の結果でした。

①卵巣子宮内膜症(OE)は2型糖尿病リスクが 61% 上昇(aHR 1.61、95% CI 1.53–1.69)
②深部子宮内膜症(DE)は 45% 上昇(aHR 1.45、95% CI 1.24–1.69)
③DE と OE の両方を持つ女性は59%上昇(aHR 1.59、95% CI 1.52–1.66)
④腹膜子宮内膜症(SE)は 67% 上昇(aHR 1.67、95% CI 1.61–1.74)

さらに、「その他の部位の子宮内膜症」では、「部位が特定されていない子宮内膜症」は一段と高く、2.47 倍のリスク(aHR 2.47、95% CI 2.35–2.60)、「解剖学的に部位が特定された子宮内膜症」は最も強い関連(2.47 倍のリスク)(aHR 2.67、95% CI 2.51–2.84)を示しました。 また、子宮腺筋症も2型糖尿病リスクの上昇と関連していました(aHR 1.34、95% CI 1.30–1.38)。

年齢別・体重・出産歴の影響について

次に、年齢の違いによる影響を検討すると、50歳未満の人では、子宮内膜症は55%のリスク上昇(aHR 1.55、95% CI 1.50–1.60)、50歳以上の人では関連は弱まりつつも統計的有意で(aHR 1.01、95% CI 1.07–1.13)で、年齢の変化で明確な差がみられました(p < 0.001)。

体重(BMI)でも層別解析すると、BMI <30 kg/m²の人では、子宮内膜症は 2 型糖尿病リスクが2倍以上(aHR 2.39、95% CI 2.34–2.44)、BMI ≥30 kg/m²の人では関連は弱まりましたが、依然としてリスク上昇(aHR 1.74、95% CI 1.70–1.79)していました。

出産歴のある女性では、妊娠糖尿病(GDM)歴による差がみられました(p < 0.001)。GDM の既往なしの人では、子宮内膜症は約2倍のリスク(aHR 1.99、95% CI 1.95–2.02)で、GDMの既往ありの人でも同様に高い関連(aHR 2.05、95% CI 1.58–2.66)がありました。

子宮内膜症の女性が今後気をつけるべきこと

結論として、これらの結果は、子宮内膜症が2型糖尿病のリスク上昇と関連しており、その関連性はサブタイプや代謝的サブグループによって大きく異なることを示しています。特に、従来は代謝リスクが低いと考えられてきた女性で最も強い関連がみられ、このことは子宮内膜症と2型糖尿病の関連が臨床的に重要なサブグループ間で異なる可能性を示しています。これらのことから、子宮内膜症を有する人は、不妊や月経困難症などの生殖に関連することだけでなく、糖尿病などの代謝疾患についても気を付けていくことが重要であると思われます。

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