「君たちはオランダの子どもたちが幸せな理由を知りたいんでしょう? とてもシンプルなことさ。これだよ、これ。オランダの子どもたちは、これを朝食でかけ放題なのさ!」
私たちがお話をうかがった、育児を一通り経験し終えたオランダ人の男性は、笑いながら「De Ruijter」と書かれた大きな箱を手渡してくれました。それは、オランダ語でHagelslagと呼ばれる「チョコレートふりかけ」です。
親からのプレッシャーが少ないということも、子どもが幸せな理由!?
「物質的な豊かさ」「健康と安全」「教育」「日常生活のリスク」「住居と環境」という5つ指標によって、ユニセフから「世界一子どもが幸せ」と称されているオランダですが、その方は違う角度から幸せの理由を教えてくれたのです。
それは、「オランダの子どもたちが幸せな理由は、親からのプレッシャーが少ないということも大きなポイント」ということです。
現在子どもがいらっしゃるご家族、あるいは子育てをされたことのあるご家庭では、「早く食べなさい!」「どうして食パン一枚に1時間もかかるの!」といった怒号が飛び交う朝食に、身に覚えがあるのではないでしょうか?
そして、そうしたプレッシャーをかければかけるほど、子どもたちはそっぽを向いたり、席を離れてノラリクラリしたりするものです。
一方で、オランダでは大好きなチョコレートふりかけが食べられます。しかもかけ放題です。ですから、朝食の時間にあまりプレッシャーを掛けることなく、子どもたち自身でご飯を食べてくれるのです。
でも、皆さんはこうも思うかもしれません。
「朝からチョコレートなんて」、「ご飯はしっかりと栄養のあるものを食べさせないとダメでしょう」と。
実際、私たち1more Baby応援団が行っている家庭の食生活に関する調査でも、子どものいる家庭はとても食事に気を使っていることがわかっています。
たとえば「大半の食事は手作りである」との質問に対しては、80.1%もの方が「YES」と答えていますし、「食事に汁ものは必ず用意する」についても、50.2%もの方が「YES」としています。
好きな子どもは好きですが、あまり好きではない子どもはいつまでも飲み進まない牛乳についても、「牛乳を毎日飲む」と答えている方が52.4%です。「早く牛乳を飲みなさい!」なんて声が聞こえてきそうですね。
気を使いすぎないこと、プレッシャーを掛けすぎないことが、自分にとっても、子どもにとっても大切
栄養に気を使うこと、きちんとした食事を心がけることはとても素晴らしいことだと思いますし、子どもの健全な成長にとって必要なことです。
ただ、一方で気を使いすぎないこと、プレッシャーを掛けすぎないことも(自分に対しても子どもに対しても)大切ではないでしょうか。
日本では食事に気を使いすぎていて、ママやパパが疲れてしまうこともあります。オランダのように、ときには良い意味での手抜きをしてもいいのではないでしょうか。
実際、オランダの朝食はとてもシンプルです。先のように、パンにチョコレートふりかけをかけ放題したパンや、シリアルだけということも普通の光景です。
あるオランダのご家庭では、「生のままのトマトかきゅうりを食べることもある」そうですが、その話をしたところ「あの家はすごく食事に気を使っている!」と噂になったほどだと言います。
もちろんオランダの文化に合わせる必要はありません。栄養バランスのよい食事を摂ることがベストです。しかし、よい食事を摂ることに気を使いすぎて、心身のバランスや家庭の雰囲気が悪くなってしまうことのほうが、より大きな問題につながりかねません。
親が気を張りすぎない、これはとても大切なことです。その最たる例が、今回ご紹介した“朝食”です。ときにはオランダのチョコレートふりかけのように、手を抜いた朝食にしてみてはいかがでしょうか?