不妊治療に取り組む女性を支えるパートナーの声。彼らの体験や思いを通じて、不妊治療の現実と、その中での夫婦の絆について掘り下げていきます。この記事では、当事者がどのようにして治療に向かい合い、互いに支え合っているのかを探ります。

今回お話を聞かせてくださったのは、柏村様(29歳/仮名)です。現在、奥様は30歳。過去に3回妊娠にしましたが、流産となってしまったそうです。そして、2回目の体外受精を控え、インタビューにご協力いただきました。

不妊だとわかった時の気持ちと行動

― 不妊だとわかった時のお気持ちを聞かせてください。

それを知った時は残念な気持ちはあったんですけど、考えても仕方がないことだし、変えられることではないので。僕自身はすぐ受け入れられましたが、妻はやっぱりショックが大きかったようです。

いい時もあれば、悪い時もあるのが人生だと思っているので、すぐに現実に向き合って進んでいこうって思いました。

― ご友人や会社の方、ご家族など、周囲の方にご相談はされましたか?

不妊治療については、親を含めて誰にも相談はしてないです。
夫婦でどうするのかを決めて、事後報告はしました。

― なぜ、先に相談しなかったのですか?

あくまでも夫婦のことなので。自分たちの人生は自分たちで決めていきたいっていう考えがあるので、夫婦だけで話し合って決めました。

― 治療が日々の生活にも影響していると思いますが、日々どのようなお気持ちで過ごしていますか?

妻は色々と自分で考えて、インターネットとかで不妊治療のこと調べたりしていますが、 僕自身は毎日思い詰めるってことはなくて、上手くいったらいいなっていうぐらいの感覚で過ごしています。

妊治療への取り組みと心がけていること

― 夫として奥さまと接する際に何か心がけていることはありますか?

妻は薬とか使っているので、何かしら体調の変化が現れたりもするんですけど、自分としてはあまり妻に対してこれどうだった?あれどうだった?っていうのを敢えて聞かないようにしています。妻の性格的にも、色々気にしてしまって落ち込んだりすることもあるので、こっちからは聞かないようにはしています。

― 不妊治療や日常生活の中で、何か心掛けていることはありますか?

不妊治療をするうえで、妻は受診に合わせて仕事を休んだりしていますが、僕はフレキシブルに休みを取ったりというのは難しいので、受診に一緒に行ける日は必ず行くようにしています。

あと、普段の生活の中では、妻は薬の影響で体調の変化が出るので、なるべく家では家事というか、家事になっているか分からないのですが、その辺りのサポートは心掛けています。

― もし気持ちが沈んだときに、ご夫婦でどのように過ごしていますか?

今までの不妊治療の中で一番沈んだ時というのが、自然妊娠で着床までいって、心拍も出ていたんですけど、途中で心拍が止まってしまったっていうことがあって。ふたりにとって一番ショッキングな出来事だったんですけど、その時は正直、僕もすぐには切り替えるのは難しかったです。

でも、今の時代は選択肢がいっぱいあるし、まだ治療ができる期間もあるので。なんだろう、何かをして乗り越えたっていうよりかは、お互い短観的にはならず、もう気長に頑張ろうよっていう感じで、長い目で見ないとしょうがないねっていう気持ちでいました。

そこからもう目線が変わりましたね。不妊治療は短期間での話ではなく、長期的な目線に切り替えることで 乗り越えることができたかなと思っています。


― 不妊治療はどうしても女性の負担が重くなるケースが多いと思いますが、その辺りの負担や意識のズレについては、どのように対応されていますか?

例えば薬の副作用とかは、実際に薬を飲んでいる人にしか分からないと思うんです。妻が薬を内服して、どのような体調の変化が出ているのかはなかなか分からないっていう。

不妊治療って、どうしても男性側は関わりづらいというか、確かに少し離れがちになってしまうと思いますが、そんな中でも治療に限らず、体調の事とかを妻にちょっと聞いてみたり。でも、僕自身も100%はカバーできてないと思います(笑)。正直に言って半分もカバーできてはないと思いますけど、何気なく日常の中で、会話の中で体調の変化とか聞いたりして、っていう感じでしょうか。

妻へ

ー 最後に奥さまに何かメッセージをお願いします。

そうですね、体調の変化とかで一番辛いのは妻自身だと思うんですけど、僕もなるべく治療に携われるようにしていきたいと思っています。

いい時も悪い時も、長い目で、一緒に側で歩んでいきたいなと思っています。