「セメントベビー」とは、再婚夫婦の間に生まれた子どものこと。英語の「セメント」には「愛情を固める」という意味もあるのです。全婚礼件数の25% 以上を再婚夫婦が占め、今や珍しい存在ではなくなった「子連れ再婚家族=ステップファミリー」が見つけた幸せのカタチです。
SNS越しの猛アプローチ
田中家は妻の彩香さん(仮名・25歳)、夫(25歳)、長男(6歳)、次男(4歳)、三男(0歳)の5人家族。彩香さんは主婦でたまに実家の仕事を手伝い、夫は自営業を営んでいます。長男と次男は彩香さんと前夫の間に生まれた子ども。いわゆる「連れ子」です。
三姉妹として育った彩香さん。周りに男兄弟がおらず、「自分にも女の子が生まれる」と思い込んでいたのだとか。
「戦隊ごっことか電車とか、男の子の好きなものに全然興味が持てなくて。家族で唯一男の子を育てたことのある私の祖母に『男の子はこうやるんだよ』って、おしりの拭き方や端午の節句に用意するもの……何から何まで教えてもらいました」
前夫とは価値観の食い違いで別れた彩香さん。女手ひとりの子育ては、実家の助けなくしてはやっていけなかったと振り返ります。けれども
「やっと自由になれたような気がして。子どもたちを連れて、よく旅行にも行っていました」。
そんな折に再会したのが、同級生である夫でした。
「SNS で『ひさしぶり』ってメッセージが来て。しつこく誘ってくるので、根負けして会うことに(笑)」。
猛アピールに反して、何気ない気遣いや優しさに惹かれたという彩香さん。ほどなくしてつき合うことにした2人の間に半年後、思いがけず子どもができました。
「2、3年つき合ったら……とは思っていたんですけど、まさかでした。1度失敗しているからギリギリまで決心がつかなくて……でも病院の待合室で言われたんです。『俺が頑張るから。頑張っていい父親になるから、産んでくれ』って」
「しつけ」と「遊び」は夫の役目
若くして3児の父親になった夫ですが、まだまだ新米パパ。
「お願いすればオムツを替えてくれるけど、ウンチは『ムリ』って替えてくれない。着替えも何回もお願いしてやっと1回くらい」。
けれどもやんちゃ盛りの長男、次男には「あいさつをする」「お礼を言う」など、厳しくしつけてくれているのだそう。
「自分が先輩から鍛えられたみたいで、礼儀にはうるさいですね」
一方で、2人を連れて銭湯に行ったり、近くの広場でサッカーをしたりと「男同士のつき合い」を深めているのだとか。
「長男は私たちのことを名前で呼んでいるんですけど、幼稚園では『パパ、ママ』って呼んでいるらしくって(笑)。2人とも最初から夫になついていたので良かったなと思います」
休みの日はどこに行くにも家族みんなで、が基本。
「夫は『愛してる』とか『好きだよ』とかよく言ってくれる。前のひとは全然言ってくれなかった(笑)。だから私もなるべく『いつもありがとう』とか、思ってることは口に出すようにしています。今、幸せに暮らせているから“ 結果オーライ” ですね」
『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト
発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
三輪慎一郎
藤平達之
定価:本体1,350円+税