いくら「子どもはこう育てたい!」という信念があっても、さまざまな事情から思い通りにいくとは限りません。金銭面で諦めざるを得ないこと、転勤によって想定していた場所から引っ越さなければいけないこともあります。それでも自分たちの思いを大切にして子育てをする家族のお話です。

苦労して産んだ待望の2人の子ども

緒方家は妻の貴美子さん(仮名・40歳)、夫(40歳)、長男(5歳)、長女(3歳)の4人家族。貴美子さんは専業主婦として、夫は会社員として多忙な日々を過ごしています。共に30歳を超えてから結婚したということで、すぐに子どもをつくろうと決意。でも、なかなか子宝に恵まれませんでした。

「子どもができづらいみたいだったので不妊治療に通いました。でもそれもうまくいかず半ば諦めかけていたところ、ようやく授かることができました」

子どもができるまで3年以上かかったこともあり、それはそれは嬉しかったといいます。そして子どもを産んだことをキッカケに、実家から歩けるところにマンションを購入、母の手伝いを受けながら育児に取り組みました。
2人目は3、4歳差を希望していたものの、医者から間隔を空けないほうが良いとの助言を受け、2歳差で出産。

「最初は本当に大変でした。長男が赤ちゃん返りしたり。でも、苦労して授かった子どもだから、苦労しながらも精いっぱい育てましたね」

義両親との円満のコツは子育て方針を伝えること

苦労して産んだ子どもたちだからこそ、

「人の気持ちがよくわかる心豊かな子に育ってもらいたいと思っています」

という思いを持って子育てに励んでいます。それを叶えるためにも、「自然との触れ合いを大切にする」というこだわりがあるのだといいます。
そこで貴美子さんは、自然散策に連れて行ってくれるNPO 法人のベビーシッターを利用することに。

「2人目が産まれたとき、どうしても長男が家にこもりがちになってしまいました。そこでベビーシッターさんをお願いしたんです」。

ベビーシッターを利用した理由はほかにもあります。

「保育園に通っている子たちは1、2歳から集団生活をしますよね。するとやっぱり成長が早いというか、気持ちが強くなる。社会性を育むという意味でも、私や私の母以外と過ごす時間をつくってあげたかったんです」

今では、長男は自然との触れ合いを大切にしている幼稚園に、長女は1人目のときと同じNPO法人のベビーシッターを利用しています。さらに、貴美子さんは「自然との触れ合い」への思いを、義理の両親にも伝えます。すると義理の父は、庭の片隅を利用して畑をつくったり、雪を盛って簡単なスキー体験ができるようにしてくれたそうです。

「子育て方針については、先に私のほうから『こういうふうに育てたい!』と宣言したことが良かったのかもしれません。もっと子どもたちが小さかった頃は、ほとんど顔を見せることができなかったのですが、今はだいぶ余裕が出てきたり、畑があったりするおかげで、毎週末行ってます」

ほかにも、家族でキャンプに出かけたりすることもよくあるのだとか。

「ショッピングモールとかも楽なので最初は行ってたのですが、やっぱりよくないよねと夫婦で話して、今は公園とか山とかばっかりです」

『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト

発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
三輪慎一郎
藤平達之
定価:本体1,350円+税

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