「恋愛と結婚は別物」とはよく言ったもの。「自分にないものを持っているひとに惹かれる」のが恋愛だとすれば、結婚は「『いいね!』と思えるものが同じひとを選ぶ」ことだとも言えるのではないでしょうか。
同じ趣味を持っている人は価値観も似ている……? そんな家族のお話です。
豪華な結婚式より庭付きの一戸建て
山本家は妻の貴子さん(仮名・36歳)、夫(40歳)、長女(5歳)、次女(0歳)の4人家族。貴子さんは看護師として、夫は会社員として働いて
います。貴子さんと夫の趣味はスノーボード。
大会にも出るほどの玄人はだしで、知り合ったのもゲレンデでした。長く友人として接しながら惹かれ合い、つき合いはじめて1年で結婚。
「価値観が共有できたことが大きかったですね。豪華な式をするくらいなら質素でいいから、お金を貯めて、大切なものに使いたかった。婚約指輪も母がくれたんです。『どうせ買わないんなら、私のを使って』って」
2人が大切にしたものは、庭付きの一戸建てでした。
「夫は“ 隣家の窓に手が届きそうな” 都会の暮らしにどうしてもなじめないみたいで。それぞれ一人暮らしのときは我慢してお互いマンション暮らしでしたが、結婚したら庭付きの家がほしいねって2人で話していたんです」。
お互いの勤務地からは1時間ほど離れた街に庭付きの家を購入。車中泊ができるワンボックスカーも手に入れました。
夫は「ウンチのついた布オムツ」も洗ってくれる
結婚から2年後に長女を妊娠。ところが貴子さんの身に変化が起こります。
「『妊娠性痒疹』にかかったんです。かゆみを抑えるために食事や着るものにこだわるようになりました」
無添加のパンづくりを習ったり、オーガニックコットンの肌着にしたり……子どものオムツを布製にしたのも、そんなきっかけでした。
「ほかのご家庭ではよく『ウンチのときはオムツを替えてくれない』って聞きますけど、夫は長女のときからかまわずにオムツ替えしてくれていました。布オムツをちゃんと洗って水に浸けておいてくれるんです」。
夜泣きのときも起きてあやしてくれる夫の姿は心強かったといいます。
5つ離れて次女が誕生し、長女も妹を抱っこしたりあやしたり、お姉ちゃんとして世話しています。
「生まれる前は少し赤ちゃん返りしたんですけど、出産直後1ヵ月は実家で過ごして、みんなに甘えさせてもらえたからか、すっかり落ち着きましたね」
まだ幼い次女と貴子さんはお留守番で、夫は長女を連れて、2人で1泊2日のスノーボード旅行に出かけることも。
「自分ひとりで上から下まで滑れるようになったんですよ。夫は大会のために毎年ボードとウエアを買い替えるほどでしたが、さすがに今はちょっと我慢してくれているみたい」
と貴子さんは笑います。もう少しすれば仕事に復帰するという貴子さん。
「実は母も同じ職業だったんですよ。『子どもが生まれるまではしっかり勉強しなさい』ってアドバイスもらって、おかげで残業せずに済む働き
方が身につきました。やっぱり私、働くのが好きなんですね」
『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト
発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
三輪慎一郎
藤平達之
定価:本体1,350円+税