今回は、キャリア志向はあるものの、仕事と子育ての両立についてあまり理解がなかった会社に勤めていた真弓さん(仮名)へのインタビュー記事です。
そんな真弓さんが、「働くママのモデルになってくださいね」と上司から言われるようになった転機とは?
職場結婚を経て、3度の育休を取得
水野家は妻の真弓さん(仮名・36歳)、夫(40歳)、長男(5歳)、長女(2歳)次女(0歳)の5人家族。真弓さんも夫も総合職の会社員ですが、現在の真弓さんは3度目の育休中です。
2人の出会いは職場でした。ゴルフコンペで偶然一緒に過ごしたことで意気投合。結婚に至りました。
現在住んでいる地域は、子どもが急増中の新興住宅街。そのため、保育園も急ピッチで増えているといいます。「3人目ができたときに今住んでいるこの家を建てました。実は最寄駅の目の前に保育園を建設していたのを見ていたので、“ ここに入れたい” と狙ってたんです」
狙い通り1人目を入園させることに成功し、2人目と3人目も次の春からの入園が決まっています。これで3度目の職場復帰となる真弓さん。自身でも「私は働いていないとダメな人間で、キャリア志向も持っているんです」と語る彼女ですが、不安は感じていないのでしょうか。
スムーズな職場復帰のためにも……
1回目の職場復帰のときは、まだ夫婦で同じ会社で働いていました。そのため、「2人とも残業していたら子どもを迎えに行けないということを会社側も承知していたので、問題なく帰らせてもらえました」と言います。
でも、このときはまだまだ会社の理解度は高くなかったそうです。
転機となったのは、2人目を出産したあとに復帰した部署でのこと。そこは、コンプライアンスを推進しようという部署で、まさに「有給休暇を消化しましょう」「残業はしないように」「ワーク・ライフ・バランスに気をつけましょう」といったことを指導する立場になったのです。
そこで真弓さんは、「働くママのモデルになってくださいね」と上司から言われたこともあって、よりいっそう仕事への力が入りました。
そして、働くママが仕事しやすい環境をつくるためにいろいろなことを画策します。
たとえば、部署ごと課ごとにLINE グループをつくって、密な報・連・相を行いましょうという提案をしたそうです。「常に課の動きや情報が入ってくることで、お互いにサポートしやすくなります。3回目の育休を取っている今回の私もそうなのですが、あらかじめ課の動きを把握しておくことができるので、スムーズに職場復帰をすることが可能になります」
だからこそ、真弓さんは3度目の職場復帰にも、なんら不安は感じていないのだといいます。
もちろん、普段の仕事で信頼を勝ち取っていたからこそ、真弓さんのそういった提案がスムーズに受け入れられたという側面があることも忘れてはいけないでしょう。
「私が入社して1回目の育休に入るまでの上司がすごく厳しい人だったんですが、私は必死についていった。今は執行役員になったその上司が、引き続き気にかけてくれていて。そういう信頼できる上司がいるからこそ、安心して育休を取れるという面もあるのかなと思っています」
『なぜ、あの家族は二人目の壁を乗り越えられたのか?』
ママ・パパ1045人に聞いた本当のコト
発行: 株式会社プレジデント社
著者: 秋山 開(公益財団法人1more Baby 応援団)
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